ピアノからだ研究家・Minna です。
今回は「ピアノ教本の使い方と罠(ワナ)」・・・というテーマでお送りしようと思います。
ちょっと物騒なタイトルですが、このテーマは、
「幼少時にピアノをやっていました」という方や
「大人になってから初めてピアノを始めました」
という方にとても参考になる内容なんじゃないかと思います。
そして、内容は「初心者教材」について語ることになりますが、その内容的には、「中級者・上級者以上」のピアノ愛好家の方にもぜひ知っていただきたい内容になっています。
ぜひ、ご自身のピアノレッスンの経験に照らし合わせていただいて参考にしていただければと思います。
目次
他の人のやり方や教本があなたに合うとは限らない
私は、30 年もの長い間、ピアノを教えてきています。
そんな経験の中で気づいたことも含めてお伝えしていますが、私がこれからお話しする内容はあくまでも
・私(MInna)の経験に基づいて私が判断したものであり、
・あなたにとっての「事実」ではありません。
この文章を読んでくださっている方が、自分自身に応用していただくことをお願いします。
ピアノ教本の使い方と罠(ワナ)
さて、ピアノ教本の使い方についてお話ししていこうと思います。
世の中にはたくさんのピアノ教本が出回っています。教本それぞれにレベル分けがされているのも事実です。
今回のお話では特に「初心者用教本」というところに的を絞ってお話ししていこうと思います。
が、冒頭でお話しました通り、今回の記事は、初心者の方ではなく、すでにその教本を終えられた中級者以上の方にはぜひ知っていてほしい内容についてお話していきますので、宜しくお願いします。
ピアノ教本は、
例えば、有名なところでは「バイエル」「メトードローズ」「トンプソン」「バーナム」「ミクロコスモス」etc・・・
本当にたくさんの教本が世の中には出回っています。
「どのピアノ教本が一番良いですか?」・・・というのは、よく受ける質問の内容なのですが、これについて語ってしまうと、また長くなってしまうので、過去に書いた記事がありますので、以下のURLを参考にしていただければと思います。
結論だけ言ってしまえば、その人に合わせて教本を選ぶ、それしかないと私は思っています。
それでもピアノ教本には「罠(ワナ)」があるのです。
ピアノ教本の罠(ワナ)って何?
ピアノ教本の罠というのは、実はピアノだけに限ったことではないのです。
ピアノだけでなく、学校の勉強や部活、そのほかのお稽古ごとに関しても、日本で教育を受けた日本人のほとんどの人が陥る罠といっても良いかもしれません。
というのは、日本の教育制度の盲点にもなっている現象でもあるのですが、日本の教育というのは「その学年を終わらせる」ということに重きを置いています。
例えば、ある子供が不登校になってしまって学校に行かなかったとしても、義務教育の間は普通に次の学年に進むことができます。
また学校の教科書も1年生、2年生、3年生と、その教科書を終わらせることに重きを置いているところがあります。
ところが、海外の学校では、たとえ小学生でも中身をちゃんと理解していないと次の学年に進めないカリキュラムになっている場合も多いのです。
私が知っている国では、フィリピン、インドなどは、同じ小学校1年生でも、同じクラスに6歳の子もいるし、10歳の子供もいるし、15歳の子供もいるということが当たり前になっています。
つまり、その学年でその「内容を習得できなければ次の学年に進めない」というのが当たり前の教育システムが出来上がっているのです。
こういう背景もあって、日本人は「それが出来るようになった」ということよりも、「その本が終わった」ということに意味(意義)を求めている部分が多いような気がします。
事実、かくいう私自身も、かつては「この本が終わったら・・・」という発想をしていたのです。
その本が終わっても中身が身についていなければ・・・
あえて全部は述べませんが、教本が終わることに本当に意味があるのでしょうか?
ちょっと考えて見ても良いかもしれません。
その本をやっていた時の年齢が大きく関係してくる
もう1つの側面として、ピアノの場合に限って言えば(私も場合に限って言えば・・・かもしれませんが)、
・個人レッスンである ということと
・生徒さんの精神年齢に合わせて
という2つの理由から、
その時点で伝えても無駄と思う場合は、
説明やその生徒さんの理解を諦める場合があります。
具体的にいうと、例えば、入学前の生徒さんに8分音符、16分音符の仕組みやシステムを理解してもらうことは困難なので、仕方なく、理屈抜きにして<8分音符は「タ」><四分音符は「タン」>と教えてしまうこともあるのです。
これは、8分音符の中身を説明したところでその幼児が本当の意味で理解するのはかなり難しいと判断するからです。
大人でも「演奏テクニックの理解」を割愛する場合もある
前述で「生徒さんの理解を諦める」といった内容は、楽譜の読み方についてですが、同じように「曲想表現」や「細かいテクニック」に関しても、その時点で割愛してしまう場合も多々あります。
例えば、始めたばかりの生徒さんに演奏表現の細かい部分まで指導してしまうと、本人のピアノ精神年齢が育っていないので「嫌になってしまう」という可能性も高いからです。
一般的な、日常の生活の話に置き換えてお話すると・・・
ほとんど掃除をしたことがない子供に部屋の掃除を頼んだと想定したとします。
その部屋を丸く履いた(掃除機をかけた)として、すぐに「この掃除じゃ不完全だから」と大人目線で起こったとしたら子供は嫌になってしまいます。
なので、その日は「よくできたね!」と褒めて、徐々に細いところの掃除までできるようにするのが教育というものです。
ピアノでも、上記のような現象が起こるのです。
初心者や子供に多くを望むとピアノが嫌われる!!
教えている私自身がそう感じた時には、無理に求めるものを増やしたりせずに適当なところで次に進んでしまうという場合があるのです。
つまり、まだその段階でない生徒さんに関してはあまり多くを望まないことにしています。
なので、生徒さんにもよるのですが精神年齢が高くならない生徒さんの場合には、あまり細かい指導はしないでレッスンを進めてしまうことも多いのです。
私の場合は、個人教室なので同じ生徒さんを5年、10年と指導する場合も多く、学年が上がってからその内容を伝えるということをするようにしています。
ところが、大手の音楽教室で学ばれている方や、教室を転々とされている方の場合、教本は終わっているけれども、その中身、つまり内容を身につけているとは言えない方が実は大勢いたりするのです。
私は、今までは他の教室から移動されてこられる生徒さんの様子でその事実を知ってはいましたが、今思うと、それは氷山の一角にしかすぎませんでした。
かなり驚いているのは、セミナーを開始してから大人のピアノ学習者の方に接する場合も多く、生徒さんという立場の方だけでなく、指導者という立場の方でも、同じように、もっと前の段階のテクニックなどを身につけていらっしゃらない方も多いということです。
基礎ができていない責任はどこにあるのか????
このように初歩の初歩の段階で、そのテクニックを身につけていらっしゃらない方が多いというのも事実なのです。
また前述の通り、教えていらっしゃる立場の方でも同じようにその部分を身につけていらっしゃらない状態という方が多いというのお事実です。
とは言え、じゃぁなんでそんな事態になってしまったのか?
というところを紐解くと、(私もそうだったのですが)
その先生たちも、その上の先生たちからそのように教わってきた。
ただ、それだけのことなのです。
なので、その先生にも責任はないのです。
まずは自分でその事実に気づくこと。
では、ピアノを学んでいる私たちはこれからどうすればこの事態を克服していけるのでしょうか???
その答えは、まずその事実に気づくこと。
それしかないと私は思っています。
あなた自身は、
バイエルやメトードローズといった初歩の初歩段階の楽譜を、
徹底的に美しく演奏できますか?
この質問「Q」に「Yes」と答えられる方は、全然問題ないかもしれません。
でも、大丈夫だろうか?と少しでも思われる方は、もう一度、自分の基礎力を確かめてみる必要があるのかもしれません。
ほぼ同じ内容ですが、動画でも説明しています。
よろしければ参考になさってくださいね。
あなたの幸せなピアノライフをいつも応援しています。
今日も訪れていただきありがとうございます。
こんな記事もお役に立つかも???
- バイエルはもう古い?ピアノの演奏方法は進化しているお話。
- 私が入門教材としてピアノ初心者にバイエルを使わない理由
- 楽譜がスラスラ読めない、楽譜をスラスラ読めるようにする方法って? part 1
- 楽譜がスラスラ読めない、楽譜をスラスラ読めるようにする方法って? part 2
- 楽譜がスラスラ読めない、楽譜をスラスラ読めるようにする方法って?Part 3
- ピアノ教室に通っているのに楽譜が読めるようにならないのはなぜ?
- 大人・再開ピアノ、入門ピアノ、独学に必要な教材は何???
- 続・ピアノの「暗譜(あんぷ)」のコツと「呼吸&脳内ピアノ」(動画付き)メルマガ登録はコチラ → ピアノ幸せメルマガやっています。
コメントを残す