演奏家ボディコーチのSayakaです。
みんなのピアノ脱力セミナーの身体部門担当として様々のピアニストさん達の身体や姿勢を拝見させて頂いております。
お陰さまで私のピアノ演奏はさておき臨床経験の方が上回っている感じも否めなくはないですが…
「他人の身体を見て上達することができる」
という事実も体験しております。
今日は私自身様々なピアニストさんの身体を見させて頂いた経験と何かを習得する上での基本的な考え方を元に
「あなたが脱力できない5つの理由」
というテーマでお話をさせて頂きたいと思います。
興味のある方はどうぞお付き合いくださいませ。
目次
何かを習得するプロセスは全て同じ!
以前Zoomというオンライン上で読者の方と交流する機会に恵まれ「脱力」に対する考え方をシェアして頂きました。
様々なピアノを愛するみなさまとの交流の中で、
「やはり全てに通ずることにもピアノにも当てはまる」
ということです。
本記事では「あなたが脱力できない5つの理由」をまとめてみました。
もしかしたらご自身に当てはまることがあるかもしれませんし、当てはまらないかもしれません。
しかしながら
「脱力をできるようになりたいけど、どうしてよいのかわからない」
いわゆる「脱力難民」になられている方にとっては参考になる情報の一つかもしれません。
①今までの人生で自分の身体や姿勢について真剣に考えたことがない
さてピアノを愛する、ピアノに親しまれている方は普段ご自身の身体についてどれぐらい向き合っているでしょうか?
それについてはピアノの先生であろうが、初心者であろうが関係ありません。
普段、ピアノを弾いている時以外でもあなたの身体に対する興味・関心の程度が脱力の習得に影響してきます。
普通の人は例えば病気になった時、痛みを感じる時に身体に興味関心が沸くぐらいで、朝から晩まで自分の姿勢を意識したりすることはまずないでしょう。
ピアノが上手くなりたい、脱力できるようになりたいと思っている方は多くいらっしゃると思いますが、
そこに日々私たちの姿勢や身体の使い方が影響しているということに気がついていますか?
鍵盤の前だけが脱力を習得する場所ではありません。
ピアノにおける脱力と普段の身体の使い方、癖は双方に影響します。
②今まで身体の使い方について、教わったことがない
同じように、いわゆる教本をしっかりこなし、基本を習ってきた人でも脱力ができないのは
「身体のことをよく知らないから」です。
「身体のことをよく知っているか、知らないか」で言えば、ピアノのレベルや経験年数は関係ないですね。
ピアノの脱力は難しいというイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、
人によっては「難しい曲が弾けること」と「身体のことを知っていること」は別の話だということを理解する方が先かもしれません。
水泳をイメージすると分かりやすいかもしれません。
スポーツの中でも特に水泳の場合は、まずは水を顔につけるところから始まりますが、具体的な泳法について腕の回し方や身体の動かし方、いわゆるフォーム(姿勢)を学びます。
ピアノ脱力においても身体科学に基づいた身体の動かし方が体系化され、書籍などでしっかり明記されています。
それにも関わらず一般的なピアノ教室では身体の使い方に関しては二の次、三の次になっているようです。
これでは泳ぎ方を知らない人がいきなりプールに飛び込んで泳ごう!としているのと同じようなものだと思います。
ただし教本通りにピアノを進めていく従来のピアノ指導法では、そのカリキュラムの中に脱力に繋がるフォームや姿勢の内容が組み込まれていないのが要因かもしれません。
そうしたピアノ教育の中で育った方が先生になり、脱力を教えられない状況はいたって普通の流れのように思います。
③脱力を定着させるための必要な知識と習慣がない
脱力を定着させるたにはいわゆる一般的なピアノスキルではない、別の体系だった知識が必要です。
身体学、解剖学、神経学、脳科学、心理学、哲学まで…
様々な分野のことに詳しくなる必要があります。
この部分がいまいち納得、理解できない方もいらっしゃると思いますが、納得できないうちはその先の行動に移すことが難しいですよね。
その場合はご自身が納得されるまで教本をこなし続けてみてはいかがでしょうか?
また脱力できる人と脱力できない人では普段の習慣が全然違います。
つまり脱力できるようになりたければ、
「脱力ができるようになる人の習慣を身に付ける必要がある」ということです。
④自分が脱力できるようになると信じていない
一番の問題は、
「自分にはできない」
と考えていることです。
つまり脱力を定着させるためには「自分を信じる力」が必要だということです。
- 「そんな信じてできるようになっちゃったら今までの苦労はなんだったのよー!」
- 「そんな簡単にできるようにはならないよ」
- 「そもそも運動音痴だし…」
こんな風に思われる方もいっらしゃるかもしれませんが、その考えがすでにあなたの可能性を制限していることにお気づきでしょうか?
脱力を説明する時するにあたり、過去の運動経験をお聞きます。
それは過去にどのような身体の使い方をしてきたかによって伝え方を変え、さらにその方にとって一番分かりやすいやり方と表現で身体と脳により理解して頂くためです。
ただその時点で
「私は子供の頃から運動が苦手で…」
「運動経験がありません…」
という実際に身体を使うことに対して過去のトラウマ、苦手意識を持たれている方もいます。
先程の水泳を例にとってみると、
「泳げない」
と思っている人は水深1m以下でも溺れてしまいます。
自分の足がつくことも知らずに…
これに関して自分で気がつくしかないですが、過去がどうであれ
「自分はできる」
と信じることがスタートです。
過去に縛られず、あなたがどうなりたい、どうしたいか…
「なりたい自分になることををあなた自身が信じられるか」
がとても大切です。
⑤適当な先生、トレーナー、仲間がいない
ピアノの上達にはピアノの先生に指導して頂くという方法が通常の流れかと思います。
先ほどの水泳の例や、どのスポーツにおいてもそれなりの上達には、その専門の指導者に指導してもらうということでさらなる飛躍を目指せると思います。
それは「ピアノ」のという一つの括りで見てもそれは他分野に及ぶのではないでしょうか?
例えば医療の分野では一口にお医者さんといっても
内科、外科、皮膚科、眼科、産婦人科…
それぞれの専門性に分かれていますね。
ピアノという世界に関しては私が思いつく程度でも
パフォーマンス、作曲、奏法、指導法、音楽史、楽曲研究…
これらもそれぞれが独立して専門性が高いのではないかと思います。
しかし一方で一般的なピアノ教室では
「一人の先生が全てを教える」というピアノの先生がいわゆる町医者的な立場にならざるを得ない状況であること
も間違いではないと思います。
何事においても上達するためには練習が必要です。
しかしただがむしゃらに練習すれば良いということでもないですね。
一流のアスリートやパフォーマーには必ずといってよいほど優秀なトレーナーなり、先生がつきものです。
それもトレーナーは一人ではなく、それぞれの専門性に分かれてコーチングを受けることがスポーツの世界では当たり前です。
さらに先生との繋がり以外に、一緒に切磋琢磨していく
友人や仲間の存在が欠かせません。
先生には聞きづらいことや一緒に悩みを共有できる友人や仲間の存在が練習をより楽しいものにし、前に進めないような時には励ましの声をかけてくれたりします。
さらに仲間の成長が刺激になって「自分もがんばろう!」という気持ちになったりするものです。
このような状況が整った時、自分ひとりではたどり着けない、さらなるパフォーマンスの向上と高みの世界を見ることが実現するのではないでしょうか?
しかしピアノに関して言えばピアノのレッスンにお金を払う人はいても、身体のレッスンにお金を払う人はどれだけいるでしょうか?
ピアノのレッスンにはお金を払えても、身体のレッスンにはお金を払う意味が分からない方も中にはいらっしゃるかと思います。
もう一度言いますが、ピアノ演奏において「難しい曲が弾けること」と「身体が使えていること」は別の話のジャンルの話だと思います。
これはランニングで言えば「がむしゃらにでも走れること」と「疲れないで走れること」の関係に似ているかと思います。
誰でも走ろうと思えば走れますが、効率的な身体の使い方を覚えるためや、それなりの大会に出場する際にはランニングスクールに通うなり、その道の専門の先生を探すでしょう。
みなさんは脱力をマスターする上でそうした専門の先生にみてもらっていますか?
あなたが脱力できない5つの理由まとめ
以上の演奏家ボディコーチの視点で「あなたが脱力ができない5つの理由」としてまとめさせて頂きました。
どんなに教本を進めても、あなたが身体の使い方を見直さない限り脱力はできないかもしれません。
身体の使い方を見直しても、適切な指導を受けなければ脱力はできないかもしれません。
適切な指導を受けても、あなたがその情報を理解する力が無ければ脱力はできないかもしれません。
身体の使い方を理解できても、あなたが自分を信じることができなければ脱力はできないかもしれません。
あなたが自分を信じられても、方向性が間違っていることに気がつかなければ脱力はできません。
ひょっとすると…思い当たることがあるかな…ないかな…
ご自身に問いかけてみてはいかがでしょうか?
この記事が誰かのお役に立てれば幸いです。
ここまでお付き合い頂きありがとうございました。
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