自分の子供にピアノを教えるのはアリか?ナシか?という議論であれば、「どっちもアリ」だと私は思っています。
その状況によるでしょうし、お母さんの性格やお子さんの性格、経済状況など、色々な観点で物事を見なければなりません。
一概にどっちが正解っていうのはないという前提でお読みください。
目次
少なくとも我が家には合わなかった
事実だけお伝えすると、私自身は娘が2歳半頃から自分自身で自分の子供にピアノを教え始めました。
1年半ほど教えて「これば無理だ」という結論に達し、当時、自分がピアノを師事していた先生のところにお願いすることを決めました。
理由が3つあります。
- 同じ年齢の子供を教えた経験がなさすぎる
- 距離感が難しい
- 「厳しさ」「受け止めるサポート」の 2役を同じ人間がやるのは難しい
同じ年齢の子供を教えた経験がなさすぎる
私の場合は、その時点でもある程度のピアノ指導経験がありました。
ところが困ったことに、当時の自分の娘の年齢ほどの生徒さんを指導した経験がなかったのです。
自分の子供とそのお友達が初めての経験、ということ。
たまたま「娘のお友達も一緒にピアノをやりたい!」という話もあり、最初の1年はグループレッスンでピアノを教え始めたのです。
その頃は娘にも「この時間はママはピアノの先生に変身するから、✖︎✖︎ちゃん(娘の名前)はママって言っちゃダメだよ」と娘にも強く言い聞かせて、娘もグループレッスンの生徒のひとりとして扱いました。
その後グループレッスンも難しくなり(全員同じペースで進むのが良くないと判断し)、「そろそろ個人レッスンを」と考え始め、半年ほどは自分でピアノを教えていました。
距離感が難しい
ところがうまくいきません。
人様の子供だと距離感を持って接することができたのですが、自分の子供となるとどうしても感情が入ってしまってうまく教えることができなかったのです(これは人にも寄ると思いますが・・)。
よくスキーを彼氏が彼女に教えるのは難しいとか、夫婦で教えるのは難しいという話がありますよね。
同じような状態なのだと思います。
教える側も教わる側も、どちらもワガママになってしまうのです。
自分で自分の子供にピアノを教えるとなると、本来の目的である「ピアノレッスンを進める」という部分ではあまり良い効果を発揮しませんでした。
まだまだ親である私自身も人間としての器が育っていなかったのだと今となっては思うのですが・・・
「厳しさ」「受け止めるサポート」の2役を同じ人間がやるのは難しい
あとは「厳しさ」と「受け止めるサポート」の面です。どういうことかというと、何かを教える時には厳しさだけでなく、その裏側(サポート・甘さ)も必要です。
人を育てていくには、飴とムチをタイミングよく交互に使って生徒を伸ばしていくという、ある種コントロールが必要になります。
例えば生徒に「ムチばかりを使ってしまった」としたら生徒は追い込まれてしまうので、その反対側で「飴を差し出す」サポートの人間が必要になります。
また子供を育てる時に「お父さんが叱ったら、お母さんが甘えの部分でサポートする」というのは当たり前のことです。
お父さんもお母さんも2人で子供を追い込んでしまったら子供は逃げ場がなくなってしまいます。
これは子育ての鉄則でもあります。
ピアノの場合で考えると、「先生が宿題を出す」、おうちに買って「お母さんがサポートをしながら何度も繰り返してできるようになる」。
この仕組みで考えれば、先生はムチでお母さんがサポートになります。
こういう関係を維持していくことが上達への道にもなるのです。
ところがお母さんが教えてしまうと、お母さんがひとりでこの2役をやるのはとても難しいことだというのはご理解いただけると思います。
小さい子供のレッスンは先生にもたくさんの経験値が必要
私が25年教えてきて感じることなのですが、小さい子供というのは言葉がまだはっきりしませんし、理解力もとても乏しいです。
小学校の3、4、5年生くらいになれば、言葉や理屈で説明して理解してもらえるという部分もあるのですが、幼稚園児や小学校1、2年生の子供の場合は、特殊な教え方が必要だと私は思っています。
そういう意味では幼児教育を勉強した方や、やはりご自身の子供を育てたかたでないと理解しにくいかもしれません。
ただ勉強をした(授業や本などで)・・・というだけでは、実は実際に教えるのは難しいというのも事実です。
例をあげれば、研修医のお医者さんが同じ状況にあたります。
大学でいくら本を片手に勉強したお医者さんでも、臨床の経験が全くなければほとんど役に立たないと言われています。
当たり前です、実際の経験がないのですから。
お医者さんに限らずにどの世界でも同じですが、研修だけで仕事ができるなんてことはありません。
やはりOJT(実際に仕事をこなしていく)という作業が必要になります。
ピアノのレッスンも同じこと。
同じ年齢の子供をたくさん教えた先生の方が、全く教えたことがない先生よりも上手に指導できるのは事実なのです(もちろん人にもよりますが)。
一度、色をつけてしまったら、別の色にするのには時間がかかる
また何かを誰かに師事して学ぶということは、その先生の影響がとても大きく反映されます。
例えば、人間がオギャーとこの世に生まれてきて育ってきた場合、その子供は当たり前のことですが「自分のお父さん、お母さん」の影響を大きく受けます。
なぜなら真っ白、ピュアー、何も知らない赤ちゃんが、お父さんの色、お母さんの色を吸収して成長していくからです。
ピアノを習うということも全く同じことが言えます。
そのピアノの先生に赤い色がついていたら、その生徒は赤く染まりますし、青い色の先生だったらその生徒は青く染まります。
演奏テクニックだけならまだ良いのですが、実はピアノというのはテクニックだけでなく「人間としてのものの考え方」などといった部分も大きく影響するので、その先生の考え方もコピーしてしまう部分があります。
そういう意味ではせっかく他の先生のコピーができるのに、自分のお母さんに習ってしまったらその部分はコピーできないことになってしまいます。
またその色が良い色だったら良いのですが、実際にピアノを学ぶ上で良くない色に染まってしまったら、その色を抜いて別の色を入れる作業はとても大変です。
その他、色々なデメリットも考えられますが、また文章が長くなってしまうので、今日はここで終わらせようと思います。
ご家庭・本人の意思も尊重して決めよう
私自身の自分の子供のピアノを自分で教え始めた経験。
だからこそ「私の場合は、自分で自分の子供に教えるのは難しい」という結論を導き出せたので、自分で教えようとしたことは間違っていなかったと思っています。
何事にも「成功」とか「失敗」というのはないってよくいいますよね。
「成功と捉えるか?」「失敗と捉えるか?」だけのことで、ただ事実があるだけだからです。
事実は「子供に教えた」ということだけで、良いも悪いもありません。
最も大切なのは、「子供の気持ち」、「お母さんの気持ち」だと思います。
お互い(ご家族、子供)の気持ちに向き合って、ご自身で答えを出していただくことがいちばん良いでしょう。
この記事がお役に立てたら嬉しいです。
今日もお読みいただきありがとうございましたm(_ _)m
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