あなたが「今持っているもの」は何ですか?
みんなのピアノでは、ピアノで幸せを目指して色々な取り組みをさせていただいています。
その取り組みのひとつが、ピアノでテクニックだけを追い求めるのではなく、「自分自身のマインド(心)も同時に成長させていきましょう」という内容のものです。
最近始めたのは、セミナー生を対象とした「マインドセット」をテーマとしたLineでのグループトークです。
このトークの中で、特に気になっているのはメンバーの思考のクセです。
ほぼ全員が、最初は「無い物」ばかりを追い求めているという事実があります。
Lineトークで話をしていくうちに、だんだんとその思考のクセに気づいて自分自身でトレーニングをする方法もお伝えしています。
今回は、「無いもの」に目を向けるのではなく「有るものに目を向けると”幸せ”が見えてくる」というお話をしていきたいと思います。
なんて私もこうやってお話をしていますが、私自身、本当に最近の最近までこんなに足り前のことに気づいていなかったひとりなので、偉そうなことは言えないのですが、それでもそれに気づいたひとりとして、こんなお話をお届けできたらいいな・・・と思います。
「じゃなきゃいけないもの」は「何も無い」
まず、最初にお話ししたいのは「じゃなきゃいけないものは何も無い」というお話です。私たち日本人は世界の中でも特に「じゃなきゃいけない」と思い込む民族のような気がします。これは歴史的背景があるのかもしれないし、国民性というのもあるのかもしれないのですが、なんとなく全てに関して「じゃなきゃいけない」とか「・・・べき」という考え方をしてしまう傾向があるような気がします。
指がないピアノの先生がピアノを教えているという事実。
色々な事例があるのですが、私が20年以上前に気づいたことをひとつ、ここでご紹介したいと思います。
これは20年以上前のことだと思うのですが、記憶があまりはっきりしていません。私はテレビで指がないピアノの先生という人がいることを知りました。番組は確か24時間テレビだったんじゃないかと思います。
誰かタレントさんがピアノを演奏するというのと同時に、その指がないピアノの先生がピアノを演奏したのをテレビで放映し、私はその番組を見ていました。今でも忘れもしないその曲はシューマンの「夢」という曲でした。
その指がない先生はどこかの地方のヤマハ音楽教室でピアノを教えていらっしゃったということだったという記憶があります。指がないと言っても、全部の指がないというわけではなく、片方の手は5本の指があったけれど、もう片方の手の指があったのか?あっても数本だったのか?そのあたりの記憶が定かではないのですが、少なくとも両手で10 の指があるという方ではありませんでした。
記憶が曖昧ではあるのですが、確か右手の指が全部なかったか?あったとしても1本か2本だったんじゃ無いかと記憶しています。
それでも、その「夢」という曲をとても美しく演奏していたのがとても印象的だったのを覚えています。
「夢」という曲はとてもゆっくりな曲なのですが、いわゆる3声・4声をイメージさせる曲で(つまり3つ、4つのメロディがいくつも重なり合って聞こえるように演奏する必要がある曲)で、スローだけれどもとても難易度が高い曲です。
右手だけで主旋律、副旋律、もうひとつか?ふたつ?旋律あったと思うので、それを右手だけで演奏していたのか?どこかのフレーズをカットしてしまっていたのか?左手で補っていたのか?は私にはわからないのですが、(私もこの曲は練習して演奏しています)私が気づかない感じで美しく曲が仕上がっていたのだけは事実です。
その時の私はまだ20歳台だったか?未熟だったので、「ピアノの先生は模範演奏をすべき」という概念に囚われていた部分があり、どうやって生徒を指導するんだろう???と不思議に思った記憶があります。(今思うと本当に稚拙な発想しかできなかったのです・涙)
2人の老婦人が出会って、お互いを補ってピアニストになったという話
関連して、別のお話をご紹介しますね。
いつだったか?(数年前に)私自身がが英語の勉強をしようと思って高校生用だったか?の英文読解の本を購入しました。出典を覚えていないのですが、確か駿台?Z会?そのあたりの英文読解の薄い本でした。その本の中にピアノにまつわる書いてありました。
その内容をご紹介すると、ある街にピアニストの女性がいてその女性が右手を失ってしまって毎日途方に暮れて失った右手のことばかりを考えて、悲しい生活を送っていました。そして、また別な街に、逆に左手が使えなくなってしまった女性がいました。その人もピアノを弾く人でした。どういう経緯だったか?そのストーリはあまりよく覚えていないのですが、とにかくそのふたりが出会って、お互いに失った手を嘆くのではなく、ふたりで「在る方」の手を使ってピアノを一緒に演奏するようになり、またピアニストとして活躍するようになった・・・というお話でした。
これは英文長文読解のお話でしたので、本当のお話かどうかはわかりませんが、それでも「失ったものを見ても幸せになれない」、自分が今持っているものを見つめましょうというお話であることには変わりないと私は思うのです。
無いものに目を向けても何も生まれないけれど、「在るもの」に目を向けると何かが生まれる。
最後になりました、この下にいくつかの動画を貼り付けてあります。
これらの動画は、すべて指が10本揃っていない、それでもピアニストとして活躍されていらっしゃる方のYouTube動画です。
両手ともに指が1本もない15歳の少年が猛練習でピアノを演奏。
この動画はYouTubeでかなり有名になった少年の映像です。
彼は、ロシアのカザンに住む15歳。名前はアレクセイ・ロマノフさん。生まれつき両手の指がなかったそうです。彼がピアノを練習したのはわずか1年半。練習を重ねることで上達し、この動画では映画『トワイライト~初恋~』の中の一曲を披露しています。
彼の演奏を見て気づくことは、指がないなら指の代わりになるものをちゃんと探して演奏しているという点です。
「指がなきゃいけない」とか「ピアノに指は必要で在るべき」という考えがないので、「あるもの」にちゃんと目が向けられているのがわかります。
オーディション番組でのピアノの女性のピアノ演奏
この動画は私がYouTubeで見つけました。
多分、どこかのオーディション番組だと思います。片方の指がない状態ですが、とても綺麗に旋律が奏でられています。素晴らしい演奏です。
テレビ番組でも紹介された左手のピアニスト・有馬圭亮さん
この有馬圭亮さんは、左手のピアニストとして活動されていらっしゃる方でテレビ番組でも紹介されています。
興味がある方は検索されるとこの方の活動をチェックできると思います。
この方は元々ピアニストだったのですが、25歳の時に 手指や唇などが思うように動かなくなる局所性ジストニアを右手に発症し、現在は、左手だけの演奏で活動していらっしゃいます。この方の病気は「シューマン」がピアニストの夢を断念した原因となった脳神経疾患ともいわれ、現在でも有効な治療法が見つかっていないと言われています。
この動画はちょっと長めで、最初の7分ほどはトーク、演奏は7分40秒あたりからスタートします。
リハビリで7本の指が動くようになりピアニストとして活躍している西川悟平さん
この西河悟平さんはかなり変わった経歴を持っていらっしゃるピアニストさんです。この方がピアノを始めたのが15歳の時、そこから猛特訓して大阪の音大の短大に入学→大学に編入、その後、ピアノで活躍しようと思ったら「『ディストニア(dystonia)』という病気になり、全ての指が動かなくなってしまったどうです。
このディストニアという病気は、身体の一部の筋肉が異常収縮して全くその筋肉が動かなくなってしまうそうです。
この方も、猛特訓の後に指を動かせるようになり、使える7本の指だけで演奏活動をしていらっしゃいます。
フィンランド在住の「80歳の左手のピアニスト」舘野泉さん。
最後にご紹介するのがピアニスト・舘野泉さん。
この動画でもお話をされていますが、15年ほど前に講演中に脳出血で倒れ、右半身不随に。その後2年かけて左手だけの奏法を習得し「左手のピアニスト」として復活されました。左手だけで弾くという制約から、舘野さんは左手の親指と人差し指でメロディ、残りの指で和音を弾き分けるなど常識を覆す奏法で、演奏をしていらっしゃいます。
この方も、失ったものに目を向けているのではなく「在るもの」に目を向けてご自身の世界を作り出していらっしゃいます。
ここでは5名のピアニストさんをご紹介しましたが、私自身は「だからどうしましょう」ということを伝えられる立場にないのでこれ以上はノーコメントとさせていただきたいと思っています。
これらの動画をこうやってご紹介することで、これを読んでくださった方、もしくはこの動画を見てくださった方が、それぞれに何かを感じ取ってくださったら嬉しいです。
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これらの記事もお役に立つかも???
紹介して頂いたビデオ、
全て観ました。
人間の可能性の大きさを再確認しました。
ピアノでなくても
「お前は指が短いから、ギターに向かない」
等、言う人多いですよね。
でも、自分が本当にやりたいことがあったら、
「常識」なんてものを使って、自分の可能性を狭めたりしたくないですよね。
今回も大変勉強になりました。
ありがとうございます。
Keiichi 様
本当にその通りですね。
いつもありがとうございます^^