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ピアノの椅子に座る時に正しい座り方をしていますか?
前回の手の置き方と同様に、意外とちゃんと理解されていないのが「正しい椅子の座り方」です。今回は、正しい椅子の座り方についてご説明していきたいと思います。また、毎回同じことを言っていますが、この内容の記事は1回目が理論編、2回目が実験・検証編の2部に分かれています。このブログのこういう系統の記事は、ぜひ「読むだけ」でなく、「ご自身で実験・検証」をして下さることをお願いいたします。行動を変えていくためには「自分自身の中での納得」がいちばん大切です。
あなたが思う「良い姿勢」は実は「良い姿勢ではない」!
昔から日本人が思っている良い姿勢というのは、胸を張って「ちょっと<<反り腰>>気味」な姿勢のことをいう場合が多いです。あなたの場合はどうですか?
例えば、上の写真のような学校で習った「気おつけ!」の姿勢。私たちはこの姿勢を良い姿勢と思っている場合が多いのですが、この姿勢は身体の負担という意味からいえば決して良い姿勢とは言えません。なぜなら、この姿勢は「腰に負担がかかる」姿勢だからです。
椅子に座るときも同様のことが言えます。この下のイラストの女性の椅子の座り方ですが一見、姿勢良く座っているように見えます。ところが、腰のあたりを見て下さい。背もたれと腰との間に空間があるのが分かりますか?
この空間は実はその人の手を背中に入れた時に、第2関節が入るか?入らないか?位の隙間が理想的だと言われています。この女性の場合、握りこぶし1つ分は入ってしまいそうなほどの空間がありそうですね。
良い骨盤の位置を保つようになれれば良い音色を出すことができる!
この下に3パターンの坐骨の状態の写真がありますので、この違いを勉強してみましょう。
1,床に対して骨盤(仙骨)が垂直に立っている状態。
この状態がいちばん理想的(正常)な座り方です。骨盤の後ろ側に「仙骨(尾骨から3センチ上位にあるゲンコツほどの大きさの骨)」という小さな骨があるのですが、その仙骨が床と垂直になっています。実はこの状態を作ろうとすると一般的に(日頃身体を鍛えていない人の場合)はこの姿勢をキープするだけでも大変です。つまり、この骨を支えるだけの筋肉が衰えてしまっているのです。
1,椅子の座面に対して骨盤(仙骨)が垂直になっている状態
では正しい座り方の時には、坐骨はどういう状態になっていれば良いのでしょうか?今回も骨の模型を使ってご説明します。
2,椅子に対して骨盤(仙骨)が前に倒れている状態(前傾)
この姿勢は主に女性の方に多い姿勢で、悪い姿勢の状態です。一見、良い姿勢のように見えますが、床と腰の間に大きな空間が出来てしまいます。それによって腰に負担がかかり腰痛の原因にもなってしまいます。
3, 座面に対して坐骨(仙骨)が後ろに倒れてしまっている姿勢(後傾)
この姿勢は、一般的にだらしないと思われる姿勢ですが、ソファーに座っている時などにかなり楽な姿勢なので、この姿勢のまま過ごしている方も多いです。またピアノを演奏する時にも、意外とこの姿勢で演奏されている方も多いのです。
この姿勢も2の姿勢(前傾)の場合と同様に、音を悪くしてしまう姿勢です。
なぜ座面に垂直に座ると音が綺麗に出るようになるのか??
では、なぜ2(前傾)でも3(後傾)でもなく、1のように坐骨が座面と垂直に座るとピアノの音色が変わるのでしょう?
ピアノの音色を美しく出すポイントを考えてみてください。ピアノ(アコースティックの場合)は打楽器(弦楽器)です。打楽器(弦楽器)の音を美しく響かせるためには体全体をリラックスさせることが必要です。
例えば大太鼓をイメージしてください。大太鼓のバチをガチガチに握りしめて音を出そうとした場合、音は膨らまず硬い音になってしまいます。その逆にバチを持つ手の緊張を緩め「ゆるゆる」の状態でリラックスして音を出すと「綺麗な芳醇な音」を出すことができます。
ピアノも同じ仕組みになっています。椅子に座る時に前傾・後傾の姿勢をしていると、体の筋肉が緊張するととともに体全体が固まってしまいます。1のように垂直に椅子に座ることができれば余計な力を抜くことができ、ほとんど骨だけで姿勢を保っていられるようになりますので、無駄な力を抜いてリラックスした状態を保てるようになります。これがアレクサンダーテクニックの学びの本質のひとつでもあるのですが、正しい位置に身体の場所を戻すことにより、リラックスした芳醇な音を出すことができるようになるのです。
今日は、正しい椅子の座り方に関する理論(理屈)の説明だけで終わってしまいましたので、次回以降の記事で実技編(姿勢を治す方法やコツ)についてお話ししています。
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あなたがピアノで幸せになるのを応援しています。
今日も訪れて下さり、ありがとうございます。
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