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ピアノでの勝ち負けを気にするってどういうこと?
私の教室の大人の生徒さんにお話をした内容なのですが、最近、大人・子供に関わらず、ピアノの演奏に「勝ち」「負け」を感じる生徒さんが多いようなので、とても気になっています。
ということで、今日は「ピアノでの勝ち負け」をテーマにお話ししていこうと思います。
芸術に「勝つ」「負ける」は存在するのか?
私の教室に通ってこられているある大人の生徒さんに「新しい大人の生徒さんが入会されましたよ」と伝えたところ、「きっと自分は負けてしまう」というのです。そこで「ピアノで負ける」って何ですか?と伺ってみたのですが、その生徒さんは、教本(テキスト)の進度のことを言っているということがわかりました。
この大人の生徒さんもそうなのですが、別の大人の生徒さんも「他の人に負けたくない」という人も多いですし、子供も、○○ちゃんは私より後に入ったのに負けちゃったなどという言葉をよく聞きます。そして、私はこのピアノで「勝った」「負けた」という表現にとても違和感を覚えています。
そもそも「ピアノで勝つ」とか「ピアノで負ける」って何なのでしようね?何を基準に勝つといい、何を基準に負けると判断するのか?その判断基準すらわかりませんし、私自身はそもそも「芸術」に「勝つも負ける」もないと思っているのです。
芸術に点数をつけることの意味って?
このサイトで度々話題にしていますが、トリノオリんピックの女子アイススケートで金メダルを荒川静香さんは元々はあまり期待されていない選手でした(だったと記憶しています)。私も記憶が定かではないのですが安藤美姫選手が女子なのに4回転を飛べるということで期待され、他の選手も期待されていた中で、荒川静香選手はあまり期待されていないというか???そんな印象でした。
そんな中、荒川静香選手はその後一躍有名になったスケートのテクニックであるイナバウアーを演じて見事金メダルと勝ち取りました。あのイナバウアーという演技?テクニック?技??は、実は点数にはカウントされません。
イナバウアーをやってもやらなくても点数に差は出ないのです。もっと言ってしまえば「やってしまってミスしたら原点」という、マイナステクニック???のような感じのテクニックです。でも荒川静香さんは、そのイナバウワーをやって金メダルを獲得しました。
このストーリーの中に、とても大事な要素が含まれています。何だかわかりますか??
それは、オリンピックはその競技で行う「テクニックの種類によって点数が変わる!」ということです。これって、とっても微妙というか?公平じゃないというか?ま、不公平???なことですよね?
学校のテストでいうならば、英国数理社の5科目のテストがあって、5教科全部が100点満点で500点満点で点数をつけるといのなら、まぁまぁ公平?と言えるでしょうが、オリンピックの点数のつけ方は、英語は100点、国語は80点、数学は120点、理科は70点、社会は130点の合計500点ですよーーと言っているのと同じことなのです。
これ、変だと思いませんか?? 国語や理科が得意な人はいくら得意でも評価されないし、、、、ということになってしまいます。
つまり、「オリンピックという競技に限って」言えば「点数を取れる人」がオリンピックの制覇者であり、「決まったルールに則って点数を取れない人は世界の制覇者ではない」ということになるのです。これって何か変だと思いませんか?
伝えられていますか???私の伝達スキル、大丈夫かな???(汗)
伝えられていることを願うのみです(笑)
ピアノ教本のやっている場所と実力はイコールではない
話をピアノの話に戻しますね。
だいぶ前にこのサイトでも記事を書いたことがあるのですが、やっているテキスト(教本)とその人の実力はイコールにはなりません。その時の記事は→こちら。大人がバイエル上巻をやっている場合と4歳児がバイエル上巻をやっている場合とでは、先生が生徒に求めるものが全く違うのです。
これがオリンピックと同じという感覚になります。
つまり、「オリンピック用の練習をした人は点数が取れる」場合もあるでしょうが、その人は点数のために(点数を目指して)競技をしているという面もあるので、その人がプロのスケーターとして成功するかどうかは話が違ってくるのです。
また、中学校で全く同じ教科書をやっていたとして、英語の成績を比べた場合、中1の生徒が中3の生徒よりも成績が良いということだってあり得る話です。
芸術を比べてどうするのだろう???
また、芸術というもので人と人を比べてどうするの???というところもあります。元々の個体が違うのだから、比べても比べようがないというか・・・。うまく説明できないのですが、
AKBのあっちゃんと大島優子ちゃんのどっちが良いと比べているというか?
グッチのバックとプラダのバックのどっちが良いと言っているような?
トランペットとフルートとどっちが良い???と言っているような?
私としては、上記のような感覚を持ってしまいます。
・・・とは言え、私も若いころ、教え始めた頃は「他の先生と比べて自分はまだまだ」と思っていた時もあったので、人様のことを言えたた立場ではないのかもしれませんが、それでも、あえてここで言わせていただくのなら、比べちゃうとね、疲れちゃうんですよね、本当に。
自分は自分。
人は人。
あの人はあの人、
その子はその子。
ピアノでも、こんな感覚を持ち続けたいですね。
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