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下手になった?と感じたら、レベルが上がっている!
ピアノを長く続けていると、続けているのと反比例してピアノがどんどん下手になってきているんじゃないか?という感覚が出てくる場合があります。それはとても正常な感覚です。というよりはその逆、実は「とても上手になってきているので、下手になったように感じる」のです。今回はこのお話をしますね。
幼稚園児は怖いもの知らずなので難しいことも簡単にやってしまう!
この記事の題名や見出しを見て「なんで???」と思われる方も多いかもしれませんが、これからそれについて具体的なお話をしますね。
例えば、幼稚園の子供がピアノを始めたとします。幼稚園の子供ですから知恵もそんなにありませんし、怖いものも知りませんのでなんでもガンガンやってしまいます。この怖いもの知らずというのが実はとてもよい面もあって「難しいことでも難しいと感じないでやってしまう→できてしまう」ということがあります。ピアノの発表会などで幼稚園児の子供が難しい曲をサラサラと弾いてしまうというのはこういう理由もあります。ところが、小学校に入ると恥ずかしさや難しさなどという感覚を覚えてきます。間違えたら恥ずかしいとか、バカにされるかも?などといった余計な感情です。その感情がピアノにおいても上達の妨げになってしまうのです。
大人の初心者もその世界の奥深さや難しさが分からず、難しいことをやってしまうこともある!
実は大人においても同じことが言えます。ピアノを始めたばかりの初心者(入門者・ビギナー)はピアノの世界を全く知りません。言うなれば、大きな旅館の入り口に立っていて、その入り口(玄関ホール)しか見えていない状態です。この玄関ホールが大きい場合はその旅館の大きさをイメージすることが出来るかもしれませんがそれはあくまでもイメージであって事実ではありません。その玄関ホールは小さな旅館位の大きさしかなかったのに中に入ってみたら「ものすごく大きい巨大老舗旅館」だったということもあるのです。
これはあくまでもひとつの事例ですが、大人のピアノ初心者(入門者・ビギナー)はまだ入り口に立っているだけなので、幼稚園児でいうところの「怖さや恥ずかしさ、難しさ」を全く知らないのです。ですから、初心者の人ほど難しい曲を弾けてしまったりする場合が多いのです。
「出来ないことを理解できた」→「上達した」になる理由
上記の記事で初心者の方が難しい曲をやってしまう(出来てしまう)理由を書きました。
ところがその内容(演奏レベル)に関してはどうなのでしょう? 確かに事実としては、難しい曲は弾けているかもしれません。ただそれは「形だけ」になってしまっているのです。「塗り絵」で言えば「ベタ塗り」、つまりリンゴなら赤!空なら青!という色をつけただけのこと。実はリンゴの赤はご存知の通り単色の赤ではないのです。光っている部分もあるでしょうし、黄色い部分もあるかもしれないし、黒い点があったり、赤と黄色が混ざったような複雑な色がいくつも使われています。またそのリンゴには影があるでしょうし・・・。ピアノの曲も同様です。音のことなので言葉にして表現するのはとても難しいのですが、
音にも・・
- 怒った音
- とんがった音
- 泣きそうな音
- 喜びに満ち溢れた音
- 重厚な音
- キラキラ光る音
- サラサラした音 etc….
もっとたくさんの音の種類があります。
その微妙な音を初心者(入門者・ビギナー)のうちは理解できないので、全ての音を「ただの音」としか認識できないのですが、上歌津してくるとその微妙な違いも分かるようになってきます。そして、自分が思う音・自分が表現したい曲の雰囲気というものがイメージできてきます。
下手になったと感じるのは、
- 自分の理想(出したい音、仕上げたい曲の雰囲気)があって、
- それに近づくことができない
1と2の間にギャップ(差)が出てくるので「下手になった」と感じてしまうのです。
つまり、入門者の場合は、1の「自分の理想(出したい音、仕上げたい曲の雰囲気)」すら作る(感じる)ことができないので、1と2のギャップを感じることすら出来ないのに対し、1と2のギャップを感じられるほど上達したと言えるのです。
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